タイ現地採用が「クズ・使えない」と呼ばれる3つの理由

タイ現地採用とGoogleで検索すると、検索候補単語に「クズ」「使えない」と表示されているのをお気づきでしょうか?
そんな人いるのかな現地?と思う事もあったので、なぜ「クズ」「使えない」と呼ばれるのかを私なりに考察してみました。

結論から書くと、「クズ」「使えない」と呼ばれる現地採用者は、一定層いると思います。

しかし、これはタイに限らず、日本でもどこでもいると思うのですが、現地採用として働く日本人の人数がタイは圧倒的に多いように感じます。それが、一つの原因にも繋がっているのかと思います。

そもそも、なぜ、「クズ」「使えない」と呼ばれるのか?

多くの理由が、対日本人のビジネスシーンで求めれる、もしくは期待されている「気遣い」「気配り」「時間厳守」「自分の仕事に責任を持つ」ができない現地採用者がそのように呼ばれているように感じます。

これは、タイや海外就職に限らず、日本にもたくさんいると思うのですが、なぜ、タイや海外就職を希望する現地採用者だけそのような理由で呼ばれるのでしょうか。

恐らく、「クズ」「使えない」と言っている人は、現地採用者や海外就職者をこのように思っているのではないでしょうか。

1.「タイで働きたい=楽して働きたい」

「タイで働きたい=楽して働きたい」と思われている。

実は、タイのアマタナコン工業団地(日系企業比率は7割以上)での営業活動中に日系企業の責任者からこのような話を伺ったことがあります。

現地採用者を採用したいが、日本本社が、「タイで働きたいと言っている日本人はろくな奴ではない」という理由で、日本本社の承認が降りず、採用できない。というものでした。

これは、日本本社側がグローバル人材時代の流れの変化に対しての知見がないように思います。

海外就職エージェントの方よりお話を伺ったことがあるのですが、東南アジアをはじめとして、海外就職や現地採用者の求人が増加したのは、ここ数年。背景にあるのは、日本企業のグローバル化と共に、海外就職をしてキャリアアップをしたいという若手人材の増加、また、海外拠点をもつ日系企業の現地化促進だと考えられています。

そのため、現地採用者を希望する人に対して「昔の考えのままの雇用主と現代の就職状況」のギャップが現地採用者に対して「クズ」「使えない」と思ってしまう1つの背景ではないでしょうか。

しかしながら、それだけではないのも事実です。

実際に「タイで楽(ラク)して働きたい」とまでは考えていなくても、「日本に帰れないからタイで働いている」という層も少なからずいるように思います。

その方々の理由は、「タイで家族を持ってしまって、日本に帰れない。」というものです。

タイで日本人が就業する場合は、最低でも5万バーツという基本法律があり、タイ人の平均給料と比較すると、5万バーツは非常に高い給料です。仮にタイのローカルエリアで、ローカルのタイ人と同様の生活をするのであれば、5万バーツという給与は生きていくためには、十分な金額でもあります。

もちろん、5万バーツという給与は最低給料のため、年功序列と共に管理職を任されると昇給があると思いますが、日本人とタイ人とでは働き方が異なり、上記でも記載したように「日本人としての働き方を求められて採用したのに、タイ人の家族がいて、日常生活も全てタイ人と同じだから。。?」それで良いとはなるはずがなく、日本人として求められている働き方をしなければ、後ろ指で「あいつは使えないやつだ、ローカル化してクズだ」と思われるのが、現地採用者は。。。と呼ばれる理由になっているのではないかと思います。

私も多くの部門責任者の現地採用者と話をしてきましたが、「常に現状に満足しないで改善を取り組もうとする人」と、「そんな事は面倒くさいし、タイ人に任せているから私には関係ないと追い払う人」と本当に大きく分けて2つのパターンの人がいます。

2.海外就職が現実逃避になっている人がいる

これは、上記の「日本に帰れない」という人とは、また違う種類です。

日本のビジネス社会に嫌気がさし、憧れの海外生活という考えで働き口を探すような人で、日本でも仕事ができなかったりする人が多いです。

よく言われているのは、タイのコールセンターでの就業者です。

この日系のコールセンターで就業するという事は、良くも悪くも「日本人であり、日本語が話せれば、ほぼ誰でも就職」できるのです。

・タイ語・英語は話せなくてもできる海外・タイ就職
・高校卒業資格でも海外・タイ就職
・自由な勤務スタイルで海外・タイ就職

と書けば聞こえはいいかもしれませんが、実態は時給200 THB(約670円 ※2020年8月23日現在)とかなりの薄給です。

それでも良いから、タイ(海外)に就職したいという人が一定数いるため、タイでも日系のコールセンターが3社以上あり、多くの日本人が働いています。

実際に、コールセンターで働いている方とお会いしたことがあるのですが、皆がみんな「使えない」「クズ」と呼ばれる人ではなく、自分で選択した行き方の一つとして働いているという事を感じました。

女性40代前半 Aさん

タイのコールセンター歴は6年だが、タイ語簡単レベル、英語簡単レベル、一般的な日系企業に就職したいけど、この語学力で採用してくれる企業はないとの事。しかし、勉強をしているかというと、そんな事はなく、ただただ、日々を過ごしているだけ。と、ネガティブ思考。

女性30代半ば Bさん

タイのコールセンター歴は3年だが、タイ語は読み書きまでできるレベル
バンコクでピアノの先生のバイトもこっそりやっているが、あまり生活費には困っていない様子。
日本より楽だから、タイに住んでいるとポジティブ思考。

コールセンターで働く闇を抱えた人の話は、こちらの書籍や記事でも紹介されているので、ご覧ください。

現代ビジネス:「月給9万円」タイのコールセンターで働く30代日本人女性の憂鬱

書籍:だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人。

就業者と企業のミスマッチ

就業者と企業のミスマッチ

これは、タイに限らず日本や、世界中で起きている問題です。

この背景としては、タイの海外就職向け人材会社の急増です。

上記でも記載させていただきましたが、近年、日系企業のグローバル化と共に、現地ローカル化促進と駐在員のコスト削減を目的とした現地採用枠への置き換えが急増しています。

と、共に、現地採用を斡旋するための人材紹介会社も急増しています。

タイでも規模の大小を問わず、日系企業向けの日本人求人を取り扱う企業が20社以上も存在し、これまでタイ人の人材紹介をメインとしていた大手のパーソネルコンサルタントも、2019年より日本人採用の求人を取り扱いを開始しました。

人材紹介会社のビジネスモデルは、求職者を就職させることでその求職者の年収の20%を採用した企業から報酬としていただくという成果報酬型のビジネスが成り立っています。

そこで、人材紹介会社としては、求職者を何としてでも就職させたいという思いと、採用する雇用主としては、年収の20%も支払うのだから、何としてでも良い人材を採用したいという思いから、雇用主から求められている能力や条件を都合の良い言葉に変えて、求人票を出すことで、一定層の求職者を集めて、最後はゴリ押しで採用させるという方法を実施している人材紹介会社もあるようです。

実際に私も大手の人材紹介会社からの求人内容と実際の就職した際の条件で異なる点がありました。

このように、一度、採用してしまった企業の雇用主視点で考えると、「高いお金を払って採用したのに、求めていた能力が備わってはいないではないか。この現地採用者は使えない。高くても、日本本社から人を送ってもらったほうが良い」という最悪の図式が出来上がってしまうと、自然と「現地採用者はクズ、使えない」という言葉が、周りの噂の影響も重ねて出てきてしまうのではないでしょうか。

一方で、現地採用者をこき使うために雇うという企業も少なからずいます。

私も一度、面接した日系企業の会社なのですが、その会社は、仕事が過酷なため、経歴がある程度汚い人でないと、採用できないと話していました。

仕事は営業といえば聞こえは良いのですが、かばん持ち、土日のゴルフ接待など昭和時代の働いてなんぼ!と呼ばれるような仕事のようです。

どのような人が応募してくるかというとやっと仕事が見つかったので、すぐにはこの仕事を辞められない(様々な事情で日本には帰れない、他に雇ってくれるような企業がなく、この会社が最後の砦。。)というような人が泥水を飲んででも働かせてほしい人が応募してくるのだそうです。。。

私が転職活動をしていた時に、面接で内定欲しさに「それでも構いません」と伝えたのですが、「あなたはまだ若いし、高望みをしなければ就職できる企業はいくらでもあるだろうから、うちで雇うような人種ではない」と伝えられました。仮に内定をもらっても、就職はしなかったと思いますが。

まとめ

私自身も営業活動をしている中で、現地採用で働いているという話をすると、「実は私もです」というお話をよく伺います。

全てではないですが、「駐在員時代にタイ人妻ができまして、日本に帰れなくなってしまいました。」という方や、タイにもっともっと居たいという「居たい居たい病」に掛かり、現地採用という手段で現在に至っている方が非常に多いです。

私もその1人なのですが(笑)

最後に、現地採用として働く人の中には、「クズ」「使えない」と呼ばれている人もいますが、きちんと話をすれば該当者とそうでない人の違いはわかるかと思います。私もいち現地採用として働くものとして、日本人として求められる「気遣い」「気配り」「時間厳守」「自分の仕事に責任を持つ」という事を忘れずに、仕事をしていきたいと思います。

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